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生活工房「時間をめぐる、めぐる時間の展覧会」

ひたすら「暇」な時間が流れる
ヒンバ族のこどもたちの映像で 
私達が忘れていた「時間の流れ」を体験する

生活工房「時間をめぐる、めぐる時間の展覧会」の試み
竹田由美(公益財団法人せたがや文化財団「生活工房」学芸員) 

2016年3月に生活工房で開催した「時間をめぐる、めぐる時間の展覧会」という、これからの私たちの時間の過ごし方を考える企画展の中で、ECフィルムを使用させていただきました。
忙しさから解放されるために便利な家電を開発してきたはずなのに、暇になった時間も、スマホやPCなど機械まかせで過ごしている私たち。人類にとって本来クリエイティブな時間であったはずの「暇」について考える部屋を展示会場内に設け、その中で「南西アフリカ ヒンバ族 少女の1人遊びと幼児による完成」をループ上映させていただきました。ナミビア・ヒンバ族の4歳くらいのお姉ちゃんが、1歳くらいの妹の執拗なチョッカイをかわしながら、ひたすら草のツルを撚っている映像です。そこにはどうしようもなく「暇」な時間が流れていて、来場者はその「ひま~」な時間を共有しながら、「もし自分の手元にスマホも本もテレビもなく、草しかなかったら、どう過ごすのだろうか?」と考えたはずです。映像を流している部屋には、小石、木の実、動物の骨、木の棒などが置いてあり、そこに少しだけ、それぞれの世界各地での遊び方を書いて置いていました。しかし、私たち現代人は、到底それだけで時間をつぶすことはできません。そう思うと、そのあたりに転がっているものでひたすら遊んでいるヒンバ族の少女が、いかに創造的に時間を過ごしているかに気が付かれるかと思います。
これまでのいわゆる民族学的映像には、例えばその地の工芸品の作り方とか、伝統行事などを記録するものなどがほとんどで、それゆえに活用方法も限られてきました。しかし、ECフィルムのまなざしは、「人類とは」「生命とは」といった根源的なところに向けられています。人類の営み、生命の営みそのものを見つめ直すことができるこの映像群を、私たちの未来を考えるためにも、ぜひあらゆる場面で活用していっていただきたいと願っています。

「時間をめぐる、めぐる時間の展覧会」会場の様子→http://www.setagaya-ldc.net/pickup/vol15/

○公益財団法人せたがや文化財団 生活工房
「暮らしをデザインする」ことをコンセプトに、展覧会やイベントを開催している世田谷区立の文化施設。
「生活するひとの目線」で社会的な問題もやさしくひらき、「生活にかえっていく」ことを目指して事業を展開している。
ECフィルムを活用した過去のイベントに「ブナ帯☆ワンダーランド」展(2015年)、「時間をめぐる、めぐる時間の展覧会」(2016年)がある。
http://www.setagaya-ldc.net/