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上映会レポート「鬼と目に見えないものを思う」

2021年3月6日、「鬼と目に見えないものを思う」をテーマにしたECフィルムの上映会がありました。
陶芸家や料理人の方達が企画段階から関わった、盛りだくさんなイベントの様子を主催のヒカミヤさんにレポートしていただきました!EC活用プロジェクトの下中も参加しています。

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今回までの経緯
2018年の夏、ヒカミヤ(自宅兼事務所であり、小さなスペースで月に一度お店を開いています)のオープン記念として初めて福知山で上映会をしました。一から手で作るをテーマに、集まってくれた20人ほどの興味を考え酒造りやカゴなどのフィルムを上映。私は以前に7夜連続上映会に参加したことがあり福知山でも開催をと思っていたこと、また下中さんもワークショップのため来福でこのタイミングだ!という流れでした。

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今回の上映テーマ「鬼」は、ヒカミヤのオリジナル商品を作るにあたり、ここ福知山に残る大江の鬼伝説をモチーフにしたことで決まりました。鬼も家族で暮らしを営んでいただろう、道具を使っただろう、それで何か食べるだろう、そんな空想の中にいつもECフィルムで見た映像がありました。ヒントを求めて1人で見るより、これから共に商品作りをしたい人と一緒に見たいと考えたのが上映会開催へのきっかけです。
さらに陶芸家 球体アイと料理人 城田文子、両氏の力により鬼とは切り離せない物語性をたっぷりと感じられるイベントとなりました。

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ー鬼と目に見えないものを思うー ECフィルム上映会 ご報告
3月6日 17時〜(前半8本)

夕方からの小雨で薪ストーブの焚かれた会場に、15名の参加者。スクリーンを前にそれぞれ好きなところに座ってもらい上映開始。4名ほどは前回の上映会でEC経験者でした。
前半のフィルムは儀式・仮面舞踊が多く、スッと入っていきにくい内容でしたがコクリトの仮面編みは手仕事の要素が存分にあるのでそれを見終わった3本目あたりで場が温まったように思います。
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鬼というテーマのもと「造形上、鬼っぽいもの」と「鬼という存在に近いもの」の両側面からのセレクトでした。そこを掘り下げることはできずじまいで(掘り下げるといっても正解のないものなのですが)その曖昧さがどうだったのか気になるところです。

前半の最後に、本イベントもうひとつの目玉、鬼の夕餉が運ばれてきます。「思う」企画の源ともなった鬼の実。粘土で架空の実を作り半分に割ったものの中身をくり抜き、焼くというとんでもない時間と手間のかかった器です。この実には器の作者本人による、誕生の物語も添えられています。

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↑器が実に戻ったところ。

誕生の物語はこちらをクリック

その鬼の実器には赤いスープに浮かんだ黒い米。献立は「蘇(牛乳のみを約5時間ほど煮詰めたもの)」から始まり「海のもの山のもの丸いの四角いの(アラメと虎豆のマリネ、むかごと銀杏の塩茹で)」「紅い汁黑い米(具材たっぷりのトマトスープに50種の古代米握り)」デザートに「水の塊(クロモジ蒸留水をアガーで固めた水菓子、フルーツ添え)」「赤鬼ほうじ茶(福知山産)」。城田さん作の鬼夕餉は肉肉しくなく、貴重な素材を活かしたとても美味しいものでした。

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不安定な器の下には当日急遽お願いして下中さんに編んでもらった藁の輪を。
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黙って見て帰る鑑賞会とは違い、ともに面白がる参加者さんあってのEC上映会。その点今回のような主催側の熱量かなり高めの会でも大丈夫な面々が来てくれたのも大きな成功ポイントでした。それぞれにバウレ族のお面、パプアニューギニアの木彫り人形、世界のいろいろな実などを持参してくださり、盛り上がる一幕も。個人宅での開催、状況により広くは告知ができなかった弱点が今回はプラスに働いたと思います。
そして今後、気をつけようと思うのは上映本数を欲張らないこと。一度に15本借りられるので目一杯盛り込みすぎました。最初は面食らっても、選ぶために何度も見るうちに私は慣れていくのですが、参加の方々はもちろん初めて。しかもなんだろうと興味津々に見るにはパワーが要ります。開催時間の枠で選ぶのではなく、余白を含めるために厳選も必要でした。(前回も同じことを反省したような気がしてきました・・・)

レポートに戻ります。(19時〜後半 7本)
ここまで2時間ちょっとが経過。皆さんおそらくお疲れ気味だった後半ですが、手仕事、食中心のフィルムが盛り返してくれました。陶芸家やパン職人もいたのでそれぞれの経験や話も交えて上映が進み、上映は無事に終了しました。最後の農家の食卓映像、それぞれに感想を言い合い笑いが起きて楽しいひとときでした。

現実の記録であるECフィルムの上映に空想の世界観を加えて体験してもらう。企画を進めるうち自然に出来上がった形だったのですが、テーマ「鬼」のフィルム上映だけではちょっと日常との距離がありすぎて入り込めないところを、空想と食べる時間が埋めてくれました。誰もが知る身近な鬼が、全てをひっくるめてまとめてくれたような気がします。

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テーマがぼやけない方法で上映に何かをプラスするのはとても面白いと感じています。間口が広がる。今回のような空想世界を持ってくるにはたくさんの準備と途切れない気持ちがいるので、気負わずできることとしてはやっぱり「やってみる」。農家さんの多いこの地方、わら編みやカゴづくりは年配の人とも共に見たい。藁男も実物大ができそう。パン屋さんの庭で、粉物練るワークショップもいいな。純粋に、趣味の染めの技術もジーーっと見たい。それぞれの会の主役の顔も浮かびます。ECフィルムで出来そうなことは本当にいっぱいあってとてもワクワクします。

主催:ヒカミヤ